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東欧の想像力4 |
帝都最後の恋 |
占いのための手引き書 |
ミロラド・パヴィッチ[著]/三谷惠子[訳] |
2009年5月31日発行 |
定価:1900円+税 |
四六判・ハードカバー・208ページ |
ISBN:978-4-87984-269-5 C0397 |
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内容紹介
本書を冒頭からページ順に読むと、そこでは以下のような物語が語られていくことになる。――ナポレオン戦争を背景にした、3つのセルビア人家族の恋の物語、三たび死ぬと予言された男をめぐるゴシック小説、あるいは、男と女、生と死、夢と現、光と闇、等々が交錯する宇宙をさまよう主人公の、自分探しの物語――
しかし本書ではまた、作者によって別の読み方も提案されている。本書冒頭に置かれた断り書きで、作者パヴィッチは以下のように述べる。「本書は、章の順番どおりに読むこともできます。あるいはタロットカードを用いて、タロットが示す順に、それぞれのカードに対応する章を読んでいくこともできます。この方法によってあなたは、カード占い、あるいはカードによる運命の予言を行うことができます。」
本書の各章は、タロットカードの大アルカナと呼ばれる22枚一組のカードの寓意画に対応している。そしてそれぞれの章で、寓意画がもつ「鍵」の《秘密》が明らかにされるという趣向ももつ。つまり、占いをするときのようにタロットカードをめくりながら、出たカードに対応した章を読んでいく、という読み方も可能で、そうすると上記の物語とはまたちがう物語が、現れてくることになる……
読者に、「読書」という言葉で想定される以上の参加を要請するパヴィッチは、また以下のようにも語っている。「私は、作品の完成に果たす読者の役割と責任を増やすことで、小説の読み方を変えようとして来ました。プロットや物語の展開の仕方、どこで読み始め、どこで読み終わるか、主人公たちの運命といったことさえ、私は読者の選択にゆだねたのです」
著者・訳者紹介
ミロラド・パヴィッチ Milorad Pavic, (1929-2009)
ベオグラードに生まれる。「セルビア人・クロアチア人・スロヴェニア人王国」であった国家が、国王アレクサンダルを摂政として「ユーゴスラヴィア」と国名を改めた、その10日後のことであった。
ベオグラード大学を卒業後、出版社に勤務しながら、創作活動・研究活動を続ける。1967年、詩集『パリンプセスト』で詩人としてデビュー。70年代から80年代前半にかけてはセルビア文学史をまとめた大著を上梓した。
1984年に小説『ハザール事典』(邦訳は東京創元社)を刊行。百科事典の形式をとり、読者が読みたい《項目》だけを選んで読むこともでき、項目から別の項目へと参照しながら物語を好きな順序で読み進めていくこともできる、という斬新な形式で話題となり、いちやく世界的な名声を得た。
その後も精力的に作品を発表。収録されているクロスワードパズルの指示にしたがい、物語を読み進める『お茶で描かれた風景画』(1988)、本の扉の両端から始まって本の真ん中で出会う2つの物語からなる作品『風の裏側 ヘーローとレアンドロスの物語』(1995、邦訳あり)など、斬新な形式の作品を多数送り出した。
三谷 惠子
東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。
現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は言語学、スラヴ語学、スラヴ言語文化論。
著書に、『クロアチア語ハンドブック』(大学書林)、『スラヴ語入門』(白水社)など。
訳書に、ドラクリッチ『バルカン・エクスプレス』( 三省堂)、ウグレシチ「君の登場人物を貸してくれ」(世界文学のフロンティア第二巻『愛のかたち』所収、岩波書店)などがある。
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関連書
※シリーズ「東欧の想像力』各巻
パヴィチ『ハザール事典』(男性版)(東京創元社)
パヴィチ『ハザール事典』(女性版)(東京創元社)