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 あるひとりのユダヤ教徒の伝記を発行しました。



『消せない烙印』

ユート・ジュースことヨーゼフ・ジュース・オッペンハイマーの生涯
ヘルムート・G・ハージス 著

木庭宏 訳





この本の内容


 17世紀末から18世紀にかけてのドイツ−正確に言えば、神聖ローマ帝国−で、ひとりの金融業者が活躍しました。その名を、ヨーゼフ・ジュース・オッペンハイマー。オッペンハイマーというユダヤ系の名前からもわかるとおり、彼はユダヤ教徒でした。


 過酷なユダヤ差別をものともせず、ジュースはおのれの才覚によって富を築きあげ、ビジネス上の信用を高め、そして権力に接近していきます。


 当時、彼が活躍した都市・ヴュルテンベルクでは、因習的な商慣習・規制がしかれ、それによってもたらされる利権を都市貴族と官僚機構が握っていました。そこに近代的な公爵カール・アレクサンダーが統治者として現れます。ジュースは、この開明的な君主の財務コンサルタントとして活躍しますが、その活動は必然的に、都市貴族・官僚たちの既得権を犯すものでした。両者の間には、常に争いの火種がくすぶり続けます。


 公爵を後ろ盾としながら、栄達を極めるジュースでしたが、事態は一変。公爵カール・アレクサンダーが急死してしまいます。公爵死後、都市貴族たち・官僚たちは怨敵ジュースに牙をむきます。ジュースは逮捕され、罪状も明らかでない裁判によって不当に死刑判決を受け(その事態は、「司法殺人」という言葉がまさにあてはまるものです)、ついには縊り殺されてしまうのです。


 ドイツではこの人物は現在でも、「ユート・ジュース」と呼ばれているそうです。訳せば「ユダ公ジュース」という蔑称です。ユダヤ教徒であったがゆえに、さまざまな偏見がこの人物に対する見方をゆがめ(そしてナチス・ドイツの登場がその偏見をいっそう強固なものにします)、それが現在も続いているのです。しかし、“ほんとうは”、彼はどのような人物だったのでしょうか。本書において、著者ハージス氏が厖大な歴史的資料に基づいて描き出したのは、硬直した前近代的機構と激しく戦いながら、ついに力つきた、ひとりの近代人の姿でありました。



この本の目次

 ・日本の読者のために ヘルムート・G・ハージス

 ・本書の時代背景について


 「消せない烙印」

霧のなかの出生? / ハイデルベルクのジュースキント一族 /

ハイデルベルク・ユダヤ教区 / マンハイムにおける社会的昇進 /

選帝プファルツ公印用紙賃借り人 / ダルムシュタットの貨幣製造者 /

フランクフルトへの移住 / ヴュルテンベルクの宮廷環境 /

シュトゥットガルト造幣所 / 公爵の相談役 /

ライン軍団納入業者 / 公爵の枢密財務顧問官 /

ビジネスパートナーとスタッフたち / 母親ミッヒェレ /

女性関係 / 結婚計画 /

愛人、ルチアーナ・フィッシャー / 空想力、ことば、人物 /

都市貴族とラントシュテンデの妨害 / 保守暴動 /

ホーエンノイフェン城塞での最初の拘禁 / ホーエンアスペルクでの拘禁と尋問 /

自己弁護の戦略 / 司法殺人の準備 /

ユダヤ教への回帰 / 司法への最後の攻撃 /

死の独房で / 絞首台で



この本のデータ

  • 書名:消せない烙印
  • 著者:ヘルムート・G・ハージス
  • 訳者:木庭宏
  • 判型:四六判(127×188mm)
  • 製本:上製(ハードカバー)
  • 頁数:480頁
  • 価格:3400円+税(税込み3570円)
  • ISBN:4-87984-245-1 C0022

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