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ブラジル日本人作家・松井太郎小説選
うつろ舟
松井太郎 著/西成彦・細川周平 編
2010年8月13日
定価:1900円+税
四六判・並製・328ページ
ISBN:978-4-87984-285-5
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内容紹介

  日本からブラジルに渡り、70余年。頑健な大地と格闘してきた老移民が、還暦を契機に小説の執筆を開始。遠く離れた故国の言語で刻み込むようにして作った物語は、いま日本国内で書かれ・読まれる小説とは異質の強さ、新鮮さをもつ――「すばる」'08年8月号で紹介され、大きな反響を呼んだ孤高の移民作家・松井太郎、その代表作を編んだ待望の作品集。

収録作品
うつろ舟
狂犬
廃路
堂守ひとり語り
神童


著者・編者紹介

松井太郎(まつい・たろう)
  父貞蔵、母きよを両親として、一九一七年神戸市に生まれる。日本の国籍は今も保持。
  一九三六年、父の失業を機に、一家でブラジルに渡った。サンパウロ州奥地で農業に従事。一家は四年後には二五ヘクタールの小地主となった。
  第二次世界大戦、またその後のコロニア社会の動揺を大過なく切り抜ける。
  意見が合わなくなった父に勘当され、妻・子どもを連れて新しい生活を始める。過労がたたって病を得たが、気候のよいモジ・ダス・クルーゼス市の郊外に移り、病気から回復。妻と息子の働きによって、安定した生活ができるようになった。後日、息子がサンパウロ市に移り、スーパーマーケットを出したのを機に隠居。
  生来、文芸に親しんできたが、隠居後に創作活動を開始。年一作ぐらいの割で創作し、コロニアの新聞・同人誌に投稿を重ねてきた。
  現在もサンパウロ市に在住、なお創作活動を続けている。

西  成彦(にし・まさひこ)
  一九五五年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。専攻は比較文学、ポーランド文学。
  著書に、『ラフカディオ・ハーンの耳』(岩波書店、一九九三)、『イディッシュ 移動文学論T』(作品社、一九九五)、『森のゲリラ 宮沢賢治』(岩波書店、一九九七)、『耳の悦楽 ラフカディオ・ハーンと女たち』(紀伊国屋書店、二〇〇四、芸術選奨文部科学大臣賞新人賞受賞)、『エクストラテリトリアル 移動文学論U』(作品社、二〇〇八)、『ターミナルライフ 終末期の風景』(作品社、二〇一一)など。
  訳書に、ゴンブローヴィッチ『トランス=アトランティック』(国書刊行会、二〇〇四)、コシンスキ『ペインティッド・バード』(松籟社、二〇一一)など。

細川  周平(ほそかわ・しゅうへい)
  一九五五年生まれ。国際日本文化研究センター教授。専攻は近代日本音楽史、日系ブラジル移民文化論。
  著書に、『サンバの国に演歌は流れる 音楽にみる日系ブラジル移民史』(中央公論社、一九九五)、『シネマ屋、ブラジルを行く 日系移民の郷愁とアイデンティティ』(新潮社、一九九九)、『遠きにありてつくるもの 日系ブラジル人の思い・ことば・芸能』(みすず書房、二〇〇八、読売文学賞受賞)、『民謡からみた世界音楽 うたの地脈を探る』(編著、ミネルヴァ書房、二〇一二)、『日本語の長い旅 日系ブラジル文学史』(みすず書房、近刊)など。


※著者・編者紹介は、本書刊行時(2010年8月)のものです。


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書評掲載

・「読売新聞」(2010/9/26)、評者:松山巌さん
「……前提は日本では考えられないブラジル奥地の大自然。……物語を綴れば、現地のポルトガル語ならばともかく、日本語の描写では軋(きし)みが生じ、日本語と格闘せざるを得ない。にもかかわらず作者は日本語で描くことを使命と感じている。……」



関連書

『遠い声』