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戦後創成期ミステリ日記
紀田順一郎[著]
2006年4月14日発行
定価:2200円+税
四六判・ハードカバー・352ページ
ISBN:978-4-87984-242-8 C0095
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内容紹介

  「戦後ミステリの、貴重な創成期クロニクル」
 現代の百科全書派として多彩な分野で活躍中の紀田順一郎氏は、少年時代から限りなくミステリを愛する人であった。
 本書は、氏が商業ジャーナリズムに登場する以前に慶応大学推理小説同好会や「密室」などの同人誌に執筆した書評、評論、時評などを収録した貴重な戦後ミステリの創成期のクロニクルである。
 読者は、ある時は鋭い的確な批評に共感し、ある時は愛ゆえの毒舌に驚き、ある時は機知溢れるおふざけにニヤリとしながら、戦後ミステリの創成期の熱気を肌で感じ、古き良き時代への楽しい回想にしばし身を浸すことだろう。
──権田萬治(評論家)


  こんにちの日本において、ミステリというジャンルに属する小説は、内外の作品を問わず、多くの読者を獲得している。しかし1950年代ぐらいまでは、推理小説はいかがわしいものという風潮が一般的だったという。いわばキワモノ視されていたこのジャンルが、徐々に読書人口をひろげ、こんにちの隆盛に至るのには、著者・訳者・出版社をはじめとするミステリの送り手側の努力に加えて、受け手・読み手の側からの影響も少なくなかった。とりわけ戦後、全国でさかんに行われた、ミステリ愛好者による同人活動は、日本におけるこのジャンルの発展に大きな影響を与えた。
  本書の著者は、高校時代にミステリの虜となり、戦後ミステリ界の動向をリアルタイムで密に感受してきた。同時に同人誌「SRマンスリー」を舞台に、積極的な同人活動を展開した経歴をもつ。本書はその活動をまとめたドキュメントである。商業メディアでミステリの新刊書評など載らなかった時代に、「SRマンスリー」で毎月発信された新刊ミステリブックガイド「To Buy or Not to Buy」をはじめ、当時発表された評論・論考群を収載。また同人活動の思い出、大伴昌司や桂千穂をはじめとする仲間たちとの交流を振り返る、書き下ろしエッセイを巻頭に掲載した。


主要目次
序章  戦後の青春と推理小説

第一部  現代推理小説考──慶應義塾大学推理小説同好会時代
  反ブーミング論
  黒死論綱要
  読書ノートから
  ダンディズム論評
  新らしい批評家を希む
  飜訳推理小説の影響
  現代推理小説考  推理小説にとって現代とは何であるか

第二部  To Buy or Not to Buy──推理小説同人誌「密室」時代(1)

第三部  推理小説──これでよいのか
  推理小説――これでよいのか
  現代科学小説評定
  編集者は語る(第2回)  東京創元社編集部第四課長  厚木淳
  新春論壇  日本推理文壇に於ける「密室」の位置
  本格推理小説の滅亡を論ず
  特集  これが最高トリックだ  十九世紀の神話
  明日に賭ける宇宙の座標  SFが得たもの喪ったもの
  恐怖の視覚
  批評と同人
  古書蒐集入門講座
  酷使官日記
……etc.


著者紹介

紀田  順一郎
  著書に『私の神保町』(晶文社)、『二十世紀を騒がせた本』(平凡社)、『日本博覧人物史』(ジャストシステム)、『コンピューターの宇宙誌』(荒俣宏との共著、同)、『東京の下層社会』(筑摩書房)など多数。
  訳書に『M・R・ジェイムズ怪談全集』(創元推理文庫)など。
  荒俣宏とともに責任編集者として、「世界幻想文学大系」(国書刊行会)を企画した。


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