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 ラテンアメリカの小説シリーズとして「創造するラテンアメリカ」を開始しました。第1弾は、コロンビアの作家フェルナンド・バジェホによる『崖っぷち』です。


『崖っぷち』

フェルナンド・バジェホ 著 久野量一 訳



この本の内容


 瀕死の弟を介護するため母国コロンビアに戻った語り手/主人公。その脳裏に去来する弟との思い出、ありし日の父の姿、憎むべき母親、そしてかつての、また現在の母国コロンビアのどうしようもない状態に対する慨嘆などなどが、自由な連想のままに、暴力的な激しい文体で、つづられていきます。


 この小説を「罵倒小説」といって紹介するのも間違いではないでしょう。制度(国)、宗教(カトリック)、慣習(マチスモ)、女(母)などを、この小説は徹底的に罵りつづけます。訳者・久野量一さんによれば、従来のラテンアメリカ文学が既成の価値観をとりあえず肯定することから出発する「肯定の文学」であるのに対し、バジェホ作品はそういったの価値観をこれっぽっちも認めない「否定の文学」であるとのこと。


 この作品は、2003年のロムロ・ガジェゴス賞を受賞しました。選評は、次のようにこの作品を評価しています。「われわれは、途轍もない言葉の力を通して、劇的な現状のテーマを映す実に文学的、感動的な小説を前にしている。日常の暴力、家族の危機、病いは、『崖っぷち』で、スペイン語文学でこれまでにない刷新をとげた。」(安藤哲行『現代ラテンアメリカ文学併走』322〜323ページより)



著者フェルナンド・バジェホについて


 フェルナンド・バジェホは、1942年、コロンビアのアンティオキア州の州都メデジンに生まれました。父は弁護士で新聞社を経営したり、地方議員をやったり、大臣を務めたりしたこともある有力な政治家だったそうです。


 少年時代をメデジンで送ったのち、ボゴタの大学で哲文学部に進み、別の大学では生物学を修めます。その後イタリアに留学して映画を学び、長篇映画を三本監督しています。


 メデジンでの幼少期を描いた『碧き日々』で作家デビューしたのが四十三歳のとき。それからも自伝的要素の強い小説を続けて発表します(『碧き日々』を含む自伝的五部作)。


 1994年にはシカリオ物『暗殺者(シカリオ)の聖母』を刊行。この作品は、映画化されたこともあり、欧米など国外でも広く話題となり、バジェホは一躍国際的な作家となりました。


 本書『崖っぷち』によって、ロムロ・ガジェゴス賞を受賞。あらゆる既成の価値観を容赦なく否定する作品群によって「ラテンアメリカでもっとも挑発的な作家」と呼ばれています。



この本のデータ

  • 書名:崖っぷち
  • 著者:フェルナンド・バジェホ
  • 訳者:久野量一
  • 判型:四六判(127×188mm)
  • 製本:並製(ソフトカバー)
  • 頁数:212頁
  • 価格:1600円+税(税込み1680円)
  • ISBN:978-4-87984-298-5 C0397

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