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『石さまざま』刊行から2年近く空いてしまいましたが、「シュティフター・コレクション」続刊をお届けします。かつて麦書房さんから刊行されていた『森ゆく人』を、訳者・松村國隆さんが大幅に改訳しました。
『森ゆく人』
(シュティフター・コレクション3)
アーダルベルト・シュティフター 著
松村國隆 訳

この本の内容
本書は、中編小説『森ゆく人』と、エッセイ「わたしの生命」を収録しています。
『森ゆく人』は3部構成の小説です。第1部は、ボヘミアの静かな森が舞台です。そこをさまよう1人の老人――まわりから「森ゆく人」と呼ばれている男、彼が本作品の主人公です。第1部では、この老人と森番の息子のあたたかい交流、そしてボヘミアの森の美しさが描かれることになります。
第2部では、彼、「森ゆく人」の前半生が描かれます。名をゲオルクというこの男は、若いころ孤独のうちに勉学を修めたのち、建築技師となった人物でした。ある仕事のとき、彼はコローナという娘と出会います。二人はお互いに惹かれあい、やがて結婚します。その生活は、周囲の目からは、幸せとしか言いようのないものだったのですが……
第3部で描かれるのは、ゲオルクとコローナのその後の、ある印象深いエピソードです。
生きていくうえで、なにかしら後悔を重ねていくのが人間というものでしょう。そして、取り返しのつかない過ち、決定的な過ちとしか思えないことを、いちどは経験するのかもしれません。この作品で描かれるのは、まさにそういった決定的な後悔であり、と同時に、その後悔の苦しみを抱える「森ゆく人」が、時の経過と美しい森の景色によって、慰められていく過程でもあります。
「わたしの生命」は、『森ゆく人』ととてもかかわりの深いエッセイです。作家が、自分の幼いころの記憶をつづっているのですが、それはほぼそのままの形で、『森ゆく人』にも出てくるものなのです。作家本人にとって大切な、最初期の記憶が、作品にどのように生かされているか、ごらんいただきたいと思います。
なお、訳者の松村國隆さんに、『森ゆく人』の成立事情、受容史、また「わたしの生命」との関係などをまとめていただきました(巻末の「訳者覚書」)。
著者シュティフターについて
19世紀オーストリアの作家。自然描写の比類ない美しさで知られます。哲学者ニーチェに「繰り返して読むに値する、ドイツ文学の宝である」との評あり。
コレクション第1巻、『石さまざま』上巻に、訳者・松岡幸司さんによる解説「シュティフター─その生涯と作品」を掲載しています。また、『石さまざま』紹介ページで、簡単な紹介をしています。そちらをぜひご覧ください。
松籟社『石さまざま』紹介ページはこちらです
シュティフターは、ドイツ語圏以外では、日本でしか知られていない作家のようですが、日本での受容史は長く、大正年間に遡ります。現在も、インターネットでキーワード「シュティフター」で検索すると、愛読者が多数見つかります。なかには、その思いを素敵なウェブサイトにまとめておられる方もいらっしゃいます。世界の果ての図書館内の「シュティフターの紙ばさみ」をぜひ、ご覧になってください。
この本のデータ
書名:森ゆく人
著者:アーダルベルト・シュティフター
訳者:松村國隆
判型:四六判(127×188mm)
製本:上製(ハードカバー)
頁数:160頁
価格:1600円+税(税込み1680円)
ISBN:978-4-87984-259-6 C0397
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