近年、欧米を中心にますます評価の高まる作家ダニロ・キシュの、本格的な研究書です。
『境界の作家 ダニロ・キシュ』
奥彩子 著

この本の内容
※「序章」より
……キシュは、ハンガリーとユーゴスラヴィア、ハンガリー系ユダヤ人とモンテネグロ人、セルビア正教とカトリックとユダヤ教といった、地理と民族にはじまり、言語、宗教、文化にわたる「境界」に生をうけた。「境界」が鋭敏な意識に生み出す差異の感覚は、キシュを自己のアイデンティティの追求に駆り立てた。キシュは創作活動を通じて、境界性をつきつめることで普遍性を獲得しようと試みる。その意味で、キシュは、まさに「ユーゴスラヴィア」の作家、地理、民族、宗教の境界のせめぎ合いから開ける普遍的な地平にたどりついた作家、観念の共同体の作家と言ってよい。……
・この本の目次
序 章 ダニロ・キシュ─生涯と作品
1.「ユーゴスラヴィア文学」とキシュ
2.人生、文学
3.「不安を生み出す差異」
4.本書について
第一部 初期作品―原点の創作
第一章 『屋根裏部屋』
1.構成
2.「愛の歌」
3.小説の小説
4.詩と小説のはざまで
第二章 『詩篇四四』
1.構成
2.「意識の流れ」と「記録文学」
3.隠された主題
4.ユダヤという刻印
第二部 中期作品─自伝的三部作
第三章 『若き日の哀しみ』
1.構成
2.父親像─不在の存在感
3.母親像─「肯定的な人物像」
4.記憶の詩化
第四章 『庭、灰』
1.母親像─生のなかの死
2.父親像─死のなかの生
3.「郷愁の集い」
4.生と死と
第五章 『砂時計』
1.構成
2.語りの拒絶の手法
3.主人公
4.世界の書物
第三部 後期作品─短篇小説
第六章 『ボリス・ダヴィドヴィチの墓』
1.「コシャヴァ」が吹き荒れるなかで
2.『ボリス・ダヴィドヴィチの墓』
3.記録と創作
第七章 『死者の百科事典』
1.構成
2.知的抒情─「死者の百科事典」
3.恋物語と文学批評─「赤いレーニン切手」
4.語る女たち
第八章 「自由亡命」という選択
1.未完の短篇「アパトリッド」
2.キシュと「中央ヨーロッパ」
3.故国のない男─「ユーゴスラヴィア」から「中央ヨーロッパ」へ
終 章 境界の作家 ダニロ・キシュ
著者ダニロ・キシュについて
著者ダニロ・キシュについては、その略歴を『砂時計』(『境界の作家 ダニロ・キシュ』の著者である奥彩子さんが翻訳されました)紹介ページに掲載しております。→こちらをごらんください。
この本のデータ
- 書名:境界の作家 ダニロ・キシュ
- 著者:奥彩子
- 判型:四六判(127×188mm)
- 製本:上製(ハードカバー)
- 頁数:368頁
- 価格:4000円+税(税込み4200円)
- ISBN:978-4-87984-280-0 C0098
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